
「今の妻とはうまくいっていない。いつか離婚するから」
「夫よりも、あなたといるときのほうが幸せ」
「もっと早く出会っていたら、あなたと結婚していた」
不倫関係の中では、このような言葉が交わされることがあります。
そして、
「この人こそ、私の運命の人なのではないか」
「今の結婚が間違いで、本当に結ばれるべきなのは私たちだったのではないか」
そんなふうに感じることもあるでしょう。
その気持ちそのものを、僕は否定したいわけではありません。
人を好きになる気持ちは、理屈だけではコントロールできないからです。
結婚していても、誰かに惹かれることはあるかもしれません。
そして、今の結婚生活を終わらせたほうが、お互いに幸せになれる夫婦もいるでしょう。
ただ、僕が慎重になったほうがいいと思うのは、
「不倫をしている最中に、その相手との結婚まで決めてしまうこと」
です。
なぜなら、
不倫という関係そのものが、相手を冷静に見ることを難しくする可能性があるからです。
会いたくても会えない。
誰にも言えない。
いつ関係が終わるか分からない。
限られた時間しか一緒にいられない。
「秘密」「制限」「不安」「刺激」。
そうしたものが重なることで、普通に一緒に暮らしている関係とは違った強烈な感情が生まれることがあります。
だからこそ、
「こんなに好きなのだから、この人と結婚すれば絶対に幸せになれる」
とすぐに結論を出す前に、一度考えてほしいのです。
そして、もう一つ。
僕がとても大切だと思っている視点があります。
それは、
「その人があなたをどれだけ愛しているか」だけではなく、「人との関係が壊れたときに、その人がどう向き合う人なのか」を見ること。
この記事では、
「刺激」
「愛」
「敬意」
「コミュニケーション」
「com」
という視点から、不倫相手との結婚をなぜ急がないほうがいいのかを考えていきます。
1. 不倫中の「好き」は、本当にその人だけに向いているのか
まず考えてみたいのが、不倫という特殊な環境です。
普通に交際しているカップルや、毎日一緒に生活している夫婦とは違い、不倫関係には多くの制限があります。
- 好きなときに会えない。
- 堂々と手をつないで歩けない。
- 休日を一日中一緒に過ごせない。
- 連絡できない時間がある。
- 家族や友人に紹介できない。
そして、
「いつかこの関係を失うかもしれない」
という不安があります。
人は、いつでも手に入るものより、
「手に入りそうで、完全には手に入らないもの」
を強く求めてしまうことがあります。
会えないから、会いたくなる。
触れられないから、触れたくなる。
失うかもしれないから、もっと欲しくなる。
すると、
「この人なしでは生きられない」
と思うほど気持ちが強くなっていくこともあります。
でも、そこで一度問いかけてほしいのです。
私は、本当にその人そのものを愛しているのだろうか。
それとも、
会えない時間、秘密、刺激、寂しさから救われる感覚まで含めて、その関係に惹かれているのだろうか。
もちろん、本当に相手を愛している場合もあります。
だから「不倫の恋は全部偽物だ」と言いたいわけではありません。
ただ、
不倫という特殊な環境によって増幅されている感情と、
その人そのものへの愛は、
一度分けて考える必要があると思っています。
2. 不倫が終わり「日常」になったとき、同じ愛情は残るのか
不倫相手と結婚したとします。
すると、それまで二人を包んでいた「非日常」は少しずつなくなります。
- 秘密ではなくなる。
- 会いたいときに会える。
- 一緒に朝を迎える。
- 一緒にスーパーへ行く。
- 電気代や家賃の話をする。
- 洗濯物が溜まる。
- 仕事で疲れて帰ってくる。
- 体調が悪くて機嫌が悪い日もある。
- トイレの使い方が気になることもある。
- 相手の嫌なところも見えてくる。
そして、それまで数時間しか一緒にいなかった相手と、
生活を共にするようになります。
ここで初めて問われるのが、
刺激がなくなった日常の中でも、その人を大切にできるのか。
ということです。
恋愛の高揚感と、
長い結婚生活の中で人を愛し続けることは、
まったく同じものではありません。
僕が思う夫婦の愛は、もっと地味です。
おはようと言う。
今日どうだった?と聞く。
疲れている相手の背中を撫でる。
手をつなぐ。
ハグをする。
ごめんねと言う。
ありがとうと言う。
嫌なことがあったときに逃げずに話す。
そんな小さな接点の積み重ねです。
不倫中は数時間のデートだけで成立していた関係が、
日常になったときにも育っていくのか。
そこは、一度冷静に考えてみる必要があります。
3. なぜ、その人は今の妻・夫と結婚したのか
僕はパートナーシップを考える上で、
「誰を選ぶか」
だけではなく、
「自分は、なぜその人を選んだのか」
を見ることがとても大切だと思っています。
今、不倫をしている人にも、現在の妻や夫と結婚した時期がありました。
そのときは、その人なりに、
「この人と一緒に生きていこう」
と思ったはずです。
では、なぜその人を選んだのでしょうか。
純粋に一緒にいたかったからなのか。
それとも、
- 寂しかったから。
- そろそろ結婚する年齢だと思ったから。
- 子どもが欲しかったから。
- 年収や職業などの条件が良かったから。
- 親や周囲から認められそうだったから。
- 自分を幸せにしてくれそうだったから。
- 一人でいることが怖かったから。
もし、自分の満たされていない部分を相手に埋めてもらうために結婚していたのだとしたら、相手を変えるだけでは、同じことを繰り返す可能性があります。
最初は満たされる。
でも、その状態に慣れてくる。
また足りなくなる。
そして、
「もっと自分を満たしてくれる人がいるのではないか」
と外を見る。
これは、相手の問題だけではありません。
「自分がどんな軸で人を選んでいるのか」
という、自分自身の問題でもあります。
だから、不倫相手との結婚を考える前に、
「なぜ今の人と結婚したのか」
を一度振り返ってみてほしいのです。
そこに自分自身のパターンが隠れていることがあります。
4. 見るべきなのは「あなたへの愛」だけではない
不倫相手から、
「こんなに好きになったのは初めて」
「君しかいない」
「妻とはもう終わっている」
と言われるかもしれません。
その言葉を聞けば、
「私はこんなに愛されている」
と思うでしょう。
でも、結婚相手としてその人を見るのであれば、
僕は「あなたへの態度」だけを見ないほうがいいと思っています。
もう一つ見てほしいものがあります。
それが、
今のパートナーに対して、その人がどのように向き合っているのか。
です。
夫婦関係が悪くなったとき、
- 話し合ったのか。
- 自分の本音を伝えたのか。
- 相手の本音を聞いたのか。
- なぜスキンシップがなくなったのかを考えたのか。
- なぜレスになったのかを二人で話したのか。
- 自分自身にも改善できる部分がなかったか振り返ったのか。
- カウンセリングなど第三者の力を借りることも検討したのか。
それでも一緒にいられないのであれば、関係をきちんと終わらせようとしたのか。
もちろん、DVや虐待、支配など、安全を守るために直接向き合うことが難しいケースもあります。
すべての夫婦に「もっと話し合えばよかった」と言えるわけではありません。
ただ、そうした事情ではないのであれば、
関係が壊れたときに何をする人なのか。

なぜなら、
あなたとの関係だって、いつか揺れる可能性があるからです。
5. 関係が壊れたときに向き合える人なのか
どれだけ仲のいい二人でも、ずっと同じ状態ではいられません。
人生にはいろいろなことが起こります。
- 仕事が忙しくなる。
- 子どもが生まれる。
- 親の介護が始まる。
- 病気になる。
- お金の問題が起こる。
- 性欲が変化する。
- セックスレスになる。
- スキンシップが減る。
相手を異性として見られなくなる時期もあるかもしれません。
そのとき、
その人はどうするのでしょうか。
寂しさから外へ刺激を求めるのか。
相手が悪いと決めつけるのか。
黙って距離を取るのか。
それとも、
「最近、僕たち少し離れている気がする」
と話せるのか。
「寂しかった」
と本音を言えるのか。
相手の話を聞けるのか。
もう一度手をつなげるのか。
触れ合いを少しずつ取り戻せるのか。
自分自身の問題にも目を向けられるのか。
二人で関係を作り直そうとできるのか。
僕は、
「幸せなときに、どれだけ愛してくれるか」以上に、「関係がうまくいかないときに、その人がどう行動するか」
を見ることが大切だと思っています。
恋愛の本質は、順調なときには見えにくい。
問題が起きたときに、その人が関係をどのように扱うのか。
そこに、その人の愛し方が現れるのではないでしょうか。
6. 今のパートナーへの「敬意」を軽く見ない
ここは少し厳しいことを書きます。
不倫を、
「本当の愛に出会ってしまった二人の美しい物語」
だけに置き換えないほうがいいと思っています。
今の妻や夫に何も伝えないまま、裏側で別の人との関係を続けているのであれば、
そこには少なくとも、
パートナーの「知ること」「選ぶこと」に対する敬意が欠けている
という問題があります。
「レスだったから」
「夫婦仲が悪かったから」
「ずっと寂しかったから」
「好きな人ができてしまったから」
それらは、
「なぜ不倫に至ったのか」
を理解する材料にはなります。
そして、そこまで夫婦関係が悪化した背景には、二人の間に積み重なってきた問題があることも多いでしょう。
ただし、
関係に問題があったことと、相手に隠れて別の関係を持つという行動は、分けて考える必要があります。
夫婦関係が壊れた責任と、
不倫という選択をした責任は、
同じものではありません。
ここを一緒にしてしまうと、
「夫婦仲が悪ければ不倫をしても仕方がない」
という話になってしまいます。
僕はそうは思いません。
もし本当に今の結婚生活を続けられないのであれば、
まず、自分の関係と向き合う。
話せる状況なら話す。
修復するのか。
別れるのか。
自分自身で決める。
そして、関係を終えたあとに次へ進む。
その順番には、
今まで一緒に生きてきた人への最低限の敬意があると思っています。
7. 不倫相手と結婚する前に、一度「一人」になる
ここが、この記事で一番伝えたいことです。
もし、
「今の妻とはもう一緒にいられない」
「夫との結婚生活を終わらせたい」
と本当に思っているのであれば、
離婚という選択そのものを僕は否定しません。
一緒にいることでお互いを傷つけ続ける関係もあります。
別れることで、それぞれが新しい人生を歩めることもあります。
ただ、
「不倫相手がいるから離婚する」ことと、「この結婚は終わらせるべきだと、自分自身で決断する」ことは違います。
ここを切り分けてみてほしいのです。
仮に不倫相手が明日突然いなくなったとしても、
あなたは今の結婚を終わらせますか?
もし、
「それでも離婚する」
と言えるのであれば、
それは少なくとも、不倫相手だけを理由にした決断ではないのかもしれません。
逆に、
「その人がいなくなるなら、離婚するか分からない」
のであれば、
人生の大きな決断を、不倫相手への感情に預けすぎている可能性があります。
だから僕は、
できるのであれば一度、
「誰かの恋人になる前に、一人になる時間」
を持ってほしいと思っています。
不倫という刺激から離れる。
寂しさを味わう。
一人で眠る。
自分の人生を見る。
なぜ今の人と結婚したのか。
いつから二人の距離が離れたのか。
自分は何を我慢していたのか。
相手は何を我慢していたのか。
なぜ本音を言えなかったのか。
なぜ触れ合わなくなったのか。
そして、
自分は不倫相手に何を求めていたのか。
- 愛だったのか。
- 承認だったのか。
- 性だったのか。
- 刺激だったのか。
- 安心だったのか。
- 孤独を埋めてもらうことだったのか。
それを一度、自分の中で見てみる。
誰かに自分の穴を埋めてもらうのではなく、
自分自身と向き合う。
その上で、
時間が経っても、
刺激がなくなっても、
秘密ではなくなっても、
それでも、
「この人と生きていきたい」
と思うのであれば、
そのとき初めて、新しい関係として二人のことを考えてもいいのではないでしょうか。
「運命の人」かどうかを決める前に、自分に戻る
不倫相手が、本当に大切な人である可能性まで否定する必要はありません。
結婚したあとに、「この人と人生を歩みたい」と思える人に出会うこともあるでしょう。
でも、新しい人に出会ったからといって、今までの関係で起きたことを置き去りにすると、相手だけが変わり、自分の中にある問題は次の関係にも持ち込まれます。
だから、一度自分に戻る。
「誰と一緒にいたいのか」だけではなく、
「私は、どんなふうに人を愛したいのか」
を考えてみる。
自分の寂しさや欲、傷と向き合い、自分がどんな眼鏡を通して人を選んできたのかを見る。
その眼鏡を外した先で、
「寂しさを埋めてくれるから」
「刺激をくれるから」
ではなく、
「それでも、この人と人生を歩みたい」
と思えるのか。
答えを急ぐ必要はありません。
本当に人を愛することの土台にあるのは、相手を一人の人間として尊重することだと僕は思います。
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性、身体、女性性・男性性、人と人とのつながり、自分との向き合い、
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