
セックスレスは、ある日突然始まるものではありません。
これまでカウンセリングを通して多くの夫婦やカップルのお話を伺ってきましたが、セックスレスの背景には、日常の小さくて些細な出来事の積み重ねがあります。
「最近あまり話さなくなった。」
「触れ合う機会が減った。」
「仕事や育児で疲れ切っている。」
「相手を思いやる余裕がなくなった。」
一つひとつは決して大きな問題ではないかもしれません。
しかし、それらが積み重なることで心の距離が少しずつ離れ、最終的にセックスレスという形で現れてしまうことが少なくありません。
つまり、セックスレスは原因ではなく、夫婦・カップルの関係性が変化した「結果」とも言えます。
そして、多くのご相談にはいくつかの共通点がありました。
今回は、セックスレスになりやすい夫婦・カップルに共通する特徴を7つご紹介します。
① スキンシップが減っている
スキンシップは、夫婦やカップルの関係を支える土台と言っても過言ではありません。
もちろん、スキンシップが減ったからといって翌日から突然セックスレスになるわけではありません。
しかし、何も対策をしなければ、その状態が続くことで心の距離は少しずつ広がり、やがてセックスレスにつながる可能性が高くなります。
イメージとしては、ジェンガのようなものです。
ジェンガは土台の積み木を1本抜いただけでは崩れません。しかし、少しずつ土台を失っていくことで不安定になり、最後には一気に崩れてしまいます。

夫婦やカップルの関係も同じです。
毎日のハグ、手をつなぐこと、肩に触れること、一緒にソファでくつろぐこと。こうした何気ないスキンシップは、一つひとつは小さなことに思えるかもしれません。
しかし、それらの積み重ねが「安心感」や「つながっている感覚」を育てています。
だからこそ、スキンシップが減ることは、セックスが減ることよりも前に起こる「大切なサイン」と言えるでしょう。
スキンシップが減ることが夫婦・カップルの関係にどのような影響を与えるのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

② 会話が減っている
今までより会話が減っているというのは、セックスレスの大きなサインの一つです。
なぜなら、会話というのは相手に興味を持ち、
「あなたのことを知りたい」「あなたを大切に思っている」
という愛情表現の一つでもあるからです。
忙しさや疲れから余裕がなくなることもありますが、相手への関心が薄れてくると、自然と会話の量や質も少しずつ変わっていきます。
そして、会話が減ると、お互いの気持ちや考え、悩みを共有する機会も減ってしまいます。
すると、「何を考えているのかわからない」「最近、心の距離を感じる」といった状態になり、安心感や信頼感も少しずつ失われていきます。

だからこそ、セックスレスはセックスだけの問題ではありません。日頃の会話が減っていることも、見逃してはいけない大切なサインなのです。
セックスはコミュニケーションの一つです。
その土台となる日常のコミュニケーションが減れば、セックスというコミュニケーションも自然と減ってしまうのは、ごく自然な流れと言えるでしょう。
③ セックスについて話さない
あなたは、セックスについて話すとしたら、どんな時に、誰と話しますか?
おそらく多くの人は、信頼できる友人や仲間と一緒にいる時、あるいは愛するパートナーといる時ではないでしょうか。
この二つに共通しているのは、「安心して本音を話せる環境」があることです。
セックスは、とてもプライベートな話題です。
だからこそ、
「こうしてほしい」
「ここが気持ち良かった」
「少し痛かった」
「今日はそんな気分じゃない」
など、自分の本音を伝えるには安心感と信頼関係が欠かせません。
もしパートナーとの間でセックスの話題がまったく出てこないのであれば、それはセックスに興味がなくなったからではなく、
お互いが本音を話しづらい関係になっているサインかもしれません。
そして、本音を話せない状態が続くと、お互いの気持ちや望んでいることが分からなくなり、すれ違いが少しずつ積み重なっていきます。
セックスレスは、セックスをしなくなることから始まるのではありません。
「セックスについて安心して話せなくなること」から、すでに始まっている場合も少なくないのです。



④ 相手を異性として見なくなった


初めて出会った頃は、「ハネムーンフェーズ」と呼ばれる状態になりやすいものです。
これは、新しい人や物事に対して強い興味や情熱を抱き、「もっと相手を知りたい」「もっと一緒にいたい」という気持ちが自然と湧いてくる時期です。
そして、相手のミステリアスな部分や、まだ知らない一面が多ければ多いほど、その未知の部分に惹かれ、恋愛感情も高まりやすくなります。
しかし、この状態だけに依存してしまうことには注意が必要です。
付き合いが長くなるにつれて、お互いのことが少しずつ分かるようになり、未知だった部分も減っていきます。
すると、「もう相手のことは全部分かっている」と思い込み、新鮮さや魅力を感じにくくなってしまうことがあります。
しかし、本当に相手をすべて理解できることは不可能に近いです。
人は年齢や環境、経験によって変化し続ける存在です。
それにもかかわらず、「もう知っている」と思った瞬間から、相手に興味を持つことをやめ、異性として見る機会も少なくなっていきます。
相手に興味を持たなくなると、「もっと触れたい」「もっと近づきたい」という気持ちも自然と減っていきます。スキンシップも減っていきます。
その積み重ねが、やがてセックスレスにつながってしまうのです。
⑤ 忙しすぎて一緒に過ごす時間が少ない
これは現代人にとても共通する問題です。
日本の労働環境は、他の先進国と比べても長時間労働になりやすく、仕事に多くの時間を費やしている人が少なくありません。
1日8時間勤務に残業が加われば、家族やパートナーと一緒に過ごせる時間はほんのわずかになります。
さらに趣味や同僚・友人との付き合いまで重なると、愛する人と向き合う時間はますます少なくなってしまいます。
仕事に情熱を持つことは素晴らしいことです。
しかし、
その前に大切にしたい存在がいるのではないでしょうか。
それは、あなたのパートナーです。
一緒に過ごす時間が減れば、自然と会話も減ります。
スキンシップも減ります。
お互いの変化に気づく機会も減ります。
すると、「いつの間にか心の距離が離れていた」という状態になりやすくなります。
セックスレスは、セックスだけの問題ではありません。
一緒に過ごす時間が減った結果として、会話やスキンシップが減り、その積み重ねがセックスレスという形で現れることも少なくないのです。
忙しいから仕方がない、と考えることもできます。
しかし、本当に大切なのは時間の長さではなく、「限られた時間を誰と、どのように過ごすか」です。
たとえ1日10分でも、お互いに向き合い、会話をし、触れ合う時間を意識してつくることが、夫婦やカップルの関係を守る大きな力になります。
⑥ セックスが特別なイベントになっている
セックスを特別なイベントに格上げしてしまうと、何が起きるのでしょうか。
それは、「特別な条件が整わなければ、セックスをしてはいけない」という無意識のメッセージが、二人の間に根づいてしまうことです。
例えば、おしゃれなレストランで食事をしてからホテルへ行く。
旅館へ旅行し、温泉に入ってからセックスをする。
クリスマスやバレンタインにデートをして、その流れでホテルへ行く。
誕生日を特別な場所でお祝いしてからセックスをする。
もちろん、このような特別な時間を楽しむこと自体は悪いことではありません。
問題なのは、
セックスが「特別な日だけにするもの」になってしまうことです。
セックスを日常から切り離してしまうと、何も予定がない普通の日に誘うことへ違和感を覚えるようになります。
「今日は特別な日ではないから」
「明日は仕事だから」
「雰囲気が整っていないから」
「疲れているから、また今度にしよう」
このように条件を一つずつ加えていくと、セックスができる日はどんどん限られていきます。
さらに、久しぶりのセックスには期待や緊張が集まりやすくなります。
「満足させなければいけない」
「うまくできなかったらどうしよう」
「せっかくの機会だから失敗できない」
そんなプレッシャーが生まれると、セックスは触れ合いを楽しむ時間ではなく、成功させなければならないイベントになってしまいます。



ハグをしたり、キスをしたり、身体を寄せ合ったりする日常の触れ合いの先に、自然とセックスがあります。
セックスを日常ではない特別なものとして扱い続けると、普段から求めることがおかしいような空気が生まれ、ますます誘いにくくなります。
そして、いつしかセックスをしないことが二人の日常になり、セックスレスへとつながっていくのです。
セックスを特別なイベントにしすぎることの問題については、以下の記事でも詳しく解説しています。


⑦ 性欲を悪いものだと思っている
子どもの頃の家庭環境や学校教育、周囲の価値観などによって、
「セックスは汚らわしいもの」
「性の話をするのは恥ずかしいこと」
「性欲を持つことは良くないこと」
といったメッセージを受けながら育つ人も少なくありません。
すると、大人になって恋人や結婚相手ができ、いざセックスをする場面になると、理由は分からないけれど嫌悪感や恥ずかしさ、罪悪感を覚えてしまうことがあります。
もちろん、そのような気持ちを持つこと自体が悪いわけではありません。
大切なのは、その気持ちを一人で抱え込まないことです。
もしパートナーと相談することなく、自分の中だけにため込み続けると、セックスをするたびにネガティブな感情が強化され、「またあの気持ちになるくらいなら、しない方がいい」と無意識に避けるようになってしまうことがあります。
そうなると、セックスを誘うことも、誘いに応じることも難しくなり、やがてセックスレスへとつながってしまいます。
性欲は、人間の三大欲求の一つです。
決して悪いものでも、恥ずかしいものでもありません。
だからこそ、自分が性に対してどのような価値観を持っているのかを知り、必要であればパートナーと少しずつ共有していくことが、健全な夫婦・カップルの関係を築く第一歩になります。
セックスレスは「原因」ではなく「結果」
ここまで、セックスレスになりやすい夫婦・カップルに共通する特徴を7つご紹介しました。
- スキンシップが減っている
- 会話が減っている
- セックスについて話さない
- 相手を異性として見なくなった
- 忙しすぎて一緒に過ごす時間が少ない
- セックスが特別なイベントになっている
- 性欲を悪いものだと思っている
これらを見てお気づきかもしれませんが、どれも「セックスそのもの」の問題ではありません。
日々の会話やスキンシップ、お互いへの興味、一緒に過ごす時間、性に対する価値観など、毎日の積み重ねが少しずつ変化した結果として、最後に現れるのがセックスレスなのです。
だからこそ、セックスレスを改善しようとして、「セックスだけ」を頑張ろうとしても根本的な解決にはつながりにくいことがあります。
まず見直したいのは、
日常です。
今日、相手とどんな会話をしましたか?
最後にハグや手をつないだのは、いつでしょうか?
相手の話をゆっくり聴く時間はありましたか?
「ありがとう」や「お疲れさま」を自然に伝えられていますか?
こうした何気ない積み重ねが、安心感を育て、心の距離を縮めます。
そして、その延長線上にあるのがセックスです。



だからこそ、改善も突然起こるものではありません。
一つひとつの日常を大切にし、お互いを思いやる時間を少しずつ増やしていくことが、夫婦・カップルの関係を育み、セックスレスを防ぐ最も確実な方法だと私は考えています。
一人で抱え込まないでください
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